別れの櫛補足




 *補足*


・斎宮って本当は皇族の女性しかなれません
 それは本当です。皇族出身以外の斎宮は歴史上存在しません。
 違和感を感じられる方がいたら申しわけありません。

・伊勢神宮に祭られている主神である内宮は天照大神(女性)で、
 外宮に豊受大神宮が祀られています。共に女性神なので、
 花梨とあの神の描写に違和感を感じられた方はいらっしゃると思いますが、
 あの神はその二柱の女神でありません。
 かつて天武帝が壬申の乱の勝利を祈願した時に、
 それに応えた皇統の誰かと理解していただけたら幸いです。
 どの資料だったかは失念しましたが、祖先の霊を慰めるために
 斎宮が置かれるようになった背景もあったため、
 神を男性神ととらえる解釈もあったようです。 


 *あとがき*

 もし龍神の神子が本当に存在するとしたら、
 その存在が天皇や上皇に知られていた場合、権力の拡散を防ぐために
 入内とかさせられてしまいそうだな、と思ったのがきっかけです。
 16歳(プレイヤーによっては17歳)で花梨が幸鷹に嫁ぐのは
 当時の感覚からすれば適齢期ですが、現代人の感覚からすれば若すぎです。
 せめて18、19歳くらいになるまで言葉は悪いですが、時間を稼ぎたかった。

 そんな時に斎宮について少しふれた文章に出会い興味を持ち、このような形になりました。
 捏造もいいところですが、一応資料は読みました。
 しかし実際のところよくわからなかったのでだいたい捏造です。
 例えば帝がいきなり花梨に別れの櫛を挿すところから始まる場面がありますが、
 本当は賀茂川で禊を行って……とか色々手順があるんです。
 けれどはっきりとしたことがわからないので、ばっさり切ってしまいました。
 現代であったなら4年5年会えなくても(辛いですが)適齢になるので
 それもいいのですが、この時代の人はそれほど長生きではありません。
 ですので、本当はもう少し京での潔斎の時期があったのですが、
 龍神の神子だからという判断で半年の潔斎で伊勢へ群行させてしまいました。
 結構やりたい放題ですね。

 まあ正直なところ、光源氏が野宮の六条御息所を尋ねるあの場面が好きで、
 あれを幸鷹さんでやりたかったというのが一番大きかったのです。
 光源氏の兄の朱雀帝が、六条御息所の娘である斎宮に卜定された
 秋好む中宮に別れの櫛を挿すときにその美貌に見とれ、
 伊勢に行かせるのは惜しいと思う場面も印象に残っていたので、
 その場面も入れてしまいました。(苦笑)

 伊勢物語はまだ未読です。ですが、少しさらう程度には目を通しました。
 幸鷹さんを伊勢に行かせるべきだったかなと思いましたが、
 京でじりじりしているほうがわたしの好みであったのでそうしました。
 丸二年会えなかった二人の再会を見たかったというのもありますが。
 斎宮である花梨が意外と色んな人にあっていますが、
 在原業平が斎宮と密会する場面が伊勢物語にあったので、
 ええい!とばかりに会わせてしまいました。

 まあ……遙かなる時空を超えた先の二次創作ということで
 多少のとんでもな設定は許して頂けたら幸いです。
 読んで頂きありがとうございました。


背景画像:【空色地図】

ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。【091002】
後日談まほろばもよろしければ。