貴方は久々に降った雪に浮かれてくるくると廻る。
貴方に贈った真っ白なショールはポンポンがついてとても暖かそうだ。
ピンク色にしようか迷ったけれど、
雪降る中、くるくると嬉しそうに廻る貴方を見ているとそれで良かった気がした。
「転ばないで下さいよ」
「雪だもん、大丈夫だよ」
そう言った瞬間に貴方はショーブーツを滑らせて転んだ。
貴方を助けようとした俺も、助けきれずに一緒に転ぶ。
一瞬回る視界に何が起きたのかわからないまま、見事に二人で転んでしまった。
打ち付けて少し痛かったのに、軽いパニックを起こしたせいで可笑しくてたまらなくなり、
二人で座り込んだまま笑い出した。
ひとしきり笑って我に返る。
「先輩、大丈夫ですか?
すりむいたりしていませんか?」
「うん、大丈夫だよ。
でもびっくりしたねー。
おしり冷たくなっちゃった」
「すみません。
俺まで一緒に転ぶなんて」
「仕方ないよ。雪なんて降るの久しぶりなんだもん」
とりあえず立ち上がる。
踏み固められていない柔らかい雪のお陰で怪我はせずに済んだけれど、
ジーンズが雪まみれになってしまった。
ああ、おしりに痣できたかも、とさする貴方を直視できずに目をそらすと、
貴方はぐいっと俺の両頬を挟んで正面を向かせた。
「……何ですか」
「どうして、そっぽ向くの?」
「……まったく、仕方ない人だな」
いつものせりふ、と貴方は笑う。
その笑顔に気をとられて俺は再び転んでしまった。
貴方は笑って後ろから俺をショールで包み込んだ。
「ほっぺた冷たかった。
こうすればあったかい?」
背中越しに伝わる貴方の体温と、包み込むショールの暖かさ。
こんな薄い生地がどれほど暖かいのだろうかと疑っていたけれど、
その暖かさは心に沁みた。
「暖かいんですけど、立ち上がらないと俺の尻も冷えるので」
「そっか」
貴方が離れていくと、冬の冷たい空気が再び俺を包んだ。
立ち上がった俺の手を貴方はそっと握る。
「……それ、暖かいんですね」
「うん」
「良かった」
「大事に使うね」
にっこりと笑った貴方を少しでも早く暖かい場所へ連れて行きたくて。
早く帰りましょうと言えば、貴方はうんと頷いた。