「凄い雨だね」
「そうですね」
今日は台風。
昼から夕方にかけて風が強くなると言っていた。
既に学校は休校が決まっていたので、俺の部屋で過ごすことになった。
今日出勤した人や、休校にならなかった学校の生徒はきっと大変なんだろうな
と思いながら人事のようにニュースを眺め、
暖かいココアを飲みながら刻一刻と酷くなっていく外を眺めるのは、
不謹慎だなと思いながらも意外に楽しいことだった。
「いつ過ぎるのかなあ」
「結構速度が速いみたいですからあっと言う間かもしれませんね」
「海とか凄いのかなあ」
「……そうでしょうね。
行ってみたいって言っても行きませんよ。危ないんですから」
ばれたか、と貴方は笑う。
「もし今晩遅くなっても雨が強かったら泊まっていこうかな」
「何処にですかっ」
「うん?ここに。
もう一枚お布団しいて」
「先輩っ」
俺の気も知らないで。
何かおかしいことを言った?といわんばかりに貴方は無邪気に笑う。
きっと予報の通り遅くとも夜遅くには雨も風も止むだろう。
でも、もし止まなかったら?
もし貴方が隣に寝ていたら、俺は眠れるんだろうか。
きっと……いや、絶対に眠れないだろうな。
苦笑いした俺を貴方は不思議そうに見つめた。