仕事の電話をしている間に、花梨は退屈だったのか眠ってしまったらしい。
ソファで眠る花梨に、普段ならブランケットをかけるのだけれど、
今日は花梨はそれを下に敷いて寝てしまっている。
このままでは風邪をひいてしまう。
けれどすやすやと眠る花梨を起こしてしまうのも勿体無くて、
少し考えた末に、私のカーディガンをかけることにした。
何だか私に抱かれて眠っているみたいでそういう眺めも悪くは無い。
「……もう少しソファが大きければ一緒に眠っても良いんですけどね」
肘掛に腰を下ろして、花梨の寝顔を眺めていると、
花梨は気配を感じたのか、すうっと目をあけた。
「……ゆきたか、さん?」
「はい」
「!!
わたし寝ちゃってたんですか」
「ぐっすりと」
「ごめんなさい」
がばっと起き上がり、かかっていたカーディガンに気付くと、
「これ、かけてくれたんですね。ありがとうございます」
「いいえ」
くしゅん。
花梨は肌寒さを感じたのか、くしゃみをして。
これ、ちょっと借りてもいいですか?
とそのままカーディガンを羽織った。
当然ながら、肩が落ち、袖が余っている。
何だか不思議な可愛らしさがあるのはどうしてだろう。
一瞬抱きしめたい、と手を伸ばしたのだけれど、
花梨はお茶を入れてきますね。
とするりと逃げてキッチンへ行ってしまった。