譲くんの手は大きい。
 昔はわたしよりずっとちっちゃかったのに。
 いつの間にこんなに大きくなったんだろう。
 そうやってじっと見つめれば、何をそんなにじっと見ているんですか?
 と、少し困ったような顔をした。

「いつの間に譲くんの手こんなに大きくなったのかなって思って」
「ああ、そういうことですか」

 譲くんは納得したように頷くと、

「貴方の背を抜く少し前には貴方の手より大きかったですよ」
「そうなの?」
「あ、俺の手が貴方の手の大きさを抜いたなって
 嬉しかったのでよく覚えてます」
「ふーん」
「貴方にはどうでもいいことかもしれないけど。
 俺には大事なことだったんですよ」

 譲くんは照れたのかそっぽを向いて、少しぶっきらぼうに言った。
 なんとなく興味が湧いて手をじっと見つめてみた。
 ちゃんと手入れされているのか、つめもいつもきちんと切られている。
 弓道をやっているせいか、右と左で雰囲気が違う。

「譲くんの手、綺麗だよね」
「何処がですか?たことかまめもあるのに」
「そういうのじゃなくて、なんかね、綺麗だなあって思ったの」
「俺も先輩の手好きですよ」

 こうするのも、こうするのも。
 わたしの両手を掴んで譲くんの頬に当て嬉しそうに笑い、
 きゅっと手をそのまま握った。

背景画像:空に咲く花

あなたの手 譲望ver.