リビングでソファーにくっついてすわる。
 夏にできなかったことがだんだん出来るようになっていくと
 季節が変わることを実感する。
 貴方と出会えて一年。
 お互いのぬくもりを感じながら、時々体を預けたり、
 本を読んだり、音楽を聴いたり。
 勿論話もするし、うたたねもする。
 まだブランケットはいらないけれど、冬になったら二人でくるまろう。
 きっとそれも幸せ。
 幸鷹がいれたコーヒーを花梨が両手で包むようにして持つ。

「暖かいコーヒーがおいしい季節になりましたね」
「そうですね」

 幸鷹はコーヒーをローテーブルに置くと、
 花梨の首筋に顔を埋めた。
 くすぐったさに花梨はカップを落としそうになり、
 こら!と怒ってみようとして、くすぐったさにふにゃふにゃになってしまい、
 結局怒りは不発に終わった。

「花梨はコーヒーより紅茶の方がよかったですか?」
「牛乳が入ってれば、大丈夫。……これ、ちょっと濃いですね」

 花梨はソファから降りてたたたとキッチンへ行ってしまう。
 それを若干うらめしそうに幸鷹は見つめる。

「そんな顔をしたってだめですよ。
 わたし濃いのとか、すっぱいの飲むと頭が痛くなっちゃうんです。
 幸鷹さんの好きな濃さだともうちょっと牛乳いれないと」
「それは申し訳ありません。じゃあ今度からは花梨のはカフェオレにしましょうか」
「……子供扱いしてません?」

 ちょっと不満そうな顔で花梨がソファーに戻ってくると、
 幸鷹は花梨からカップを取り上げ、抱きすくめる。
 これの何処が子ども扱いだというんです?そう耳元で囁くと、
 花梨は耳まで真っ赤にして。
 そういう意味じゃありません、とつぶやいた。

背景画像:ミントBlue

コーヒーブレイク 幸花ver.